マタイの福音書17章1~13節

三位一体・第11主日礼拝    2025.8.24
聖書箇所: マタイの福音書17章1-13節
説 教 題:  「光る雲の中からの声」
説 教 者:     辻林 和己師

彼がまだ話している間に、見よ、光り輝く雲が彼らをおおった。すると見よ、雲の中から「これはわたしの愛する子。わたしはこれを喜ぶ。彼の言うことを聞け」という声がした。      マタイの福音書17章5節 (p.34)

序 論)ピリポ・カイサリア地方で、主イエスはご自身の受難と復活について弟子たちに予告されるようになりました。(16章21-28節)
 続いて主と彼らのやりとりがなされた後、六日目に主は「ペテロとヤコブとその兄弟ヨハネだけを連れて、高い山に登られ」ました。(1)
 そこで起こった出来事を通して示されることは…                   

1.主の栄光の御姿
 弟子たちの目の前で、主イエスの御姿が変わりました。 (2)
 御顔はまぶしく光輝き、着ておられた御顔まで白く光りました。(「キリストの変貌(変容)」)
 これが神の御子であられる主の本来の御姿でした。
 その時、モーセとエリヤが現われ、主イエスと語り合っていました。(3)
 モーセは、出エジプト時のイスラエルの民の指導者でした。神様はモーセを通して民に律法を与えられました。(ヨハネの福音書1章17節p175)
 エリヤはBC800年代に北イスラエル王国で活動した預言者でした。
 旧約聖書においてこの二人だけが、神様が自分の前を通り過ぎられるのを見ました。(出エジプト記34章6節p161、列王記 第一 19章11節p637)
 この時、彼らは、主イエスと、主が「エルサレムで遂げようとしておられる最期について」話していたのです。(ルカの福音書9章31節p132)
 主イエスとモーセ、エリヤの姿を見たペテロは感激し、ここに幕屋を三つ造ることを主に提案します。(4)
 彼は、ここにとどまりたいと思ってとっさにこのように言ったのでしょう。 

2.主イエスに聞き従うように
 主イエス、モーセ、エリヤを「光輝く雲」がおおいました。(5a)
 この雲は神様の臨在を表しています。
 そして、雲の中から神様の御声が聞こえました。
 主イエスは父なる神様ご自身が愛される御子であることを宣言されたのです。(5bc)
 そして、苦難に遭われるメシア(救い主)である主に聞き従うようにと命じられました。(5d)
 弟子たちは神の御声を聞いてひれ伏し、恐れましたが、通常の姿に戻られた主イエスが彼らに御声をかけ、励まされました。(6-7)
 最後まで彼らの前におられたのは、モーセでもエリヤでもなく、主イエスだけでした。(8)
 三人の弟子たちは栄光に輝く主イエスの御姿を見、このことを他の人たちにも伝えたいと願ったことでしょう。
 しかし、主イエスはそのことを禁じられました。(9)
 メシアの使命を正しく理解しない人々の熱狂を招かないためでした。
 弟子たちは、この指示を聞いて困惑し、主イエスに尋ねます。
 律法学者たちはマラキ書に記されていることばに基づきメシアの到来に先立ちエリヤが地上に来ると教えていました。(マラキ書4章5節p1635)
 主イエスは弟子たちに答えられます(11-12)
 かつて主は洗礼者ヨハネこそ「来るべきエリヤ」だと言われました。(マタイの福音書11章14節p21)
 ヨハネは人々の期待するエリヤとは違っていたので、彼らはエリヤ(ヨハネ)に対して好き勝手なことをしました。
 主のことばを聞いて弟子たちもこの時、ようやくそのことを悟りました。(13) 

結 論)主イエスはご自身が予告されたように、この後、「人々から苦しみを受け」(12)、十字架で死なれ、復活されました。(9)
 主イエスの復活の後、ペテロは高い山で目撃した出来事を証しするようになりました。(ペテロの手紙 第一 1章16-17節p474)
 私たちはモーセやエリヤをはじめ多くの先達に敬意を払い、彼らの歩みにならいたいと願います。
 しかし、私を愛し、私のために十字架で死なれ、復活され、今、聖霊によって私のうちに生きてくださるお方は主イエスだけなのです。
 聖霊の導きと聖書のことばを通して、さらに主イエスに聞き従う者とさせていただきましょう。

(参考) 『キリストの変容』
  イタリアのルネサンス期の画家
  ラファエロ・サンティ(1483-1520)の作品
  バチカン美術館所蔵