三位一体・第22主日礼拝 2025.11.9
聖書箇所: 使徒の働き17章1-15節
説 教 題: 「ベレアでの伝道」
説 教 者: 辻林 和己師
これらのことが書かれたのは、イエスが神の子キリストであることを、あなたがたが信じるためであり、また信じて、
イエスの名によっていのちを得るためである。ヨハネの福音書20章31節 (p.229)
序 論)ピリピを立ち退いたパウロとシラスは、テサロニケに向かいます。(1)(ピリピからテサロニケまで約150㎞) テサロニケはマケドニヤ州の首都で商業が盛んな町でした。そのためユダヤ人も多く住んでいました。
テサロニケ、そして後に宣教したベレアで起こった出来事とそれらを通して示されることは…
1.聖書が預言しているキリスト
パウロは、テサロニケでも「ユダヤ人の会堂」(1)で宣教しました。(1-2)
聖書(旧約聖書)は、やがてメシヤ(キリスト)が地上に来られることを預言しており、主イエスこそユダヤ人の待望していたキリスト(救い主)であることを聖書に基づいて(2)説明し、論証しました。(3)(詩篇22篇p.952、イザヤ書53章p.1258等)
パウロたちは主イエスの十字架による救いと復活について語ったのです。
後にパウロはテサロニケ人への手紙で、このとき、「力と聖霊と強い確信を伴って」福音を語ったと回顧しています。(テサロニケ人への手紙 第一 1章5節 p.408)
それによって、主イエスを信じる人たちが起こされました。(4)
その中には「神を敬う大勢のギリシア人たち」がいました。また「かなりの数の有力な婦人たち」も、信じました。
そのため、ユダヤ人たちは二人をねたみました。(5)
彼らがならず者たちを集めて暴動を起こしたのは、その原因がキリスト者にあるとの口実を作るためでした。(5)
ユダヤ人たちは、パウロたちに「…カエサルの詔勅に背く行いをしています。」と濡れ衣を着せ、迫害し続けます。(「カエサル」は当時のローマ皇帝のこと)(6-7)
彼らはパウロたちの宣教をローマ帝国の治安を乱す政治運動にすりかえて反逆罪で告訴したのです。
ユダヤ人たちは「彼はみな、『イエスという別の王がいる』と言って…」とパウロたちを訴えました。(7)
これは彼らがパウロたちを訴えるための言い掛かりの言葉でした。しかし、同時に、主イエスがローマ皇帝とは全く違う「別の王」、すなわち全世界の真の王、私たちが心の王座(中心)にお迎えすべきお方であることを示す言葉でもありました。
彼らの訴えの証拠は挙がらず、捕らえられていた信徒のヤソン(5)たちは、保証金を払って釈放されました。(9)
2.主イエスを証しする聖書
テサロニケの兄弟たちは、パウロとシラスを夜の間に、ベレアに送り出しました。(10a)
ベレアは、テサロニケから西へ約80㎞の距離にある町でした。そこでもパウロたちは、ユダヤ人の会堂で福音を語ります。(10b)
幸いにもこの町のユダヤ人たちはパウロの説教を素直に聞きました。そして、その通りかどうかと自分たちで日々聖書(旧約聖書)を調べ、その結果ユダヤ人もギリシア人も多くの人たちが主イエスを信じました。(11-12)
しかし、テサロニケのユダヤ人はベレアまでパウロたちを追ってきて群衆を騒がせました。(13)
このことからも福音をパウロたちが伝えていたことが、保守的なユダヤ人たちにいかに大きな危機感を与えていたかが分かります。
その後、シラスとテモテをベレアに残して、パウロは兄弟たちと共にアテネに船で渡りました。アテネは当時のギリシア文化の中心地でした。(14-15)
結 論) ベレアの人たちは「非常に熱心にみことばを受け入れ」(11)、とあるようにパウロの語る福音を真剣に聞いたのです。そして、毎日、聖書を調べていました。
ベレヤの人たちが読み、調べていた聖書は旧約聖書ですが、今、私たちには旧約、新約、両方の聖書が与えられています。これは大きな恵みです。では聖書を読むのは何のためでしょう。
主イエスは、「あなたがたは、聖書の中に永遠のいのちがあると思って、聖書を調べています。この聖書は、わたしについて証ししているものです。」と仰っておられます。 (ヨハネの福音書5章39節 p.187)
聖書を読み、調べることを通して、主イエスのもとに行くこと、主イエスがどのようなお方かを知り、主への信仰が強められること、永遠のいのちに生かされることが最も大切なのです。 (ヨハネの福音書20章31節p229)
日々、聖書の通読、精読を続けながら、主イエスとの交わりを持ち、主の恵みとご愛をいただいて歩みましょう。
(参考)
『聖書通読にチャレンジしよう』(2005年)(下川友也著、いのちのことば社)
