マタイの福音書16章13~20節

三位一体・第9主日礼拝     2025.8.10
聖書箇所: マタイの福音書16章13-20節
説 教 題:  「主イエスご自身の教会」
説 教 者:     辻林 和己師

すると、イエスは彼に答えられた。「バルヨナ・シモン、あなたは幸いです。このことをあなたに明らかにしたのは血肉ではなく、天におられるわたしの父です。そこで、わたしもあなたに言います。あなたはペテロです。わたしはこの岩の上に、わたしの教会を建てます。よみの門もそれに打ち勝つことはできません。…」   マタイの福音書16章17-18節 (p.33)

序 論)主イエスは弟子たちとガリラヤの北東の高台にある「ピリポ・カイサリア」に行かれました。(13)
 そこで、なされた主イエスとペテロのやりとり、主のみことばを通して示されることは…                   

1.ペテロの信仰告白
 主イエスは弟子たちに「人々は人の子をだれだと言っていますか」とお尋ねになりました。(13)(「人の子」はご自身を指して言われたことば)
 彼らは答えます。(14)
 領主ヘロデ・アンティパスは、主をバプテスマのヨハネのよみがえりではないかと恐れていました。 (14章1-2節p28)
 メシア(救い主)の先駆者エリヤと見なす人たちもいました。(マラキ書4章5節p1635、列王記 下 1章~2章p648等参照) 
 預言者エレミヤや預言者の一人だと思う者たちもいました。
 次に主イエスは弟子たちに、「あなたがたは、わたしをだれだと言いますか。」と問われます。(15)
 シモン・ペテロが弟子たちを代表して答えます。(16a)
 「あなたは生ける神の子キリストです。」(16b)
 主イエスに対して、人が地上でなした初めての信仰告白でした。
 主は彼の答えを喜ばれました。(17)
 彼がこのように告白できたのは「血肉」(人間の力や知恵)によるのではありません。父なる神様がそうさせてくださったのです。  

2.この岩の上に
 今度は主イエスがシモンに対して「あなたはペテロです。」(ギリシア語では「ペトロス」。「小さい石」という意味。)(18ab)と語られます。
 さらに「わたしはこの岩(ギリシア語では「ペトラ」)の上にわたしの教会を建てます。」(18c)と言われます。(「ペテロ」(ぺトロス)と「岩」(ペトラ)は掛けことばになっている。「ペトラ」は「どっしりとした岩、岩盤」という意味。)
 主イエスはご自身に対する弟子たちの信仰の上に、ご自身の教会を建てると言われたのです。(この福音書の中で、ここで初めて「教会」という言葉が使われている。)
 主イエスを神の御子、キリスト(救い主)と信じる者たちの集まりが教会です。
 「よみ」(漢字は「陰府」、「黄泉」。ギリシア語では「ハデス」)は死者の世界を意味していますから「よみの門」(18d)は、死の力を示しています。
 死の力さえも教会に打ち勝つことはできません。十字架で死なれ、よみに降り、復活された主イエスが共におられるからです。
 続いて主はペテロに語られます。(19)
 ペテロに与えると仰っている「天の御国の鍵」は、後に他の弟子たちにも与えられています。(マタイの福音書18章18節p37)
 このとき、主イエスは弟子たちにご自身がキリストであることを口外してはならない、と命じられました。

結 論)このときのペテロや他の弟子たちも、主イエスが成そうとしておられたことをまだ十分に理解できていませんでした。
 この後も、彼らは様々な失敗をしました。そして、主が十字架にかかられる前に逃げ出してしまいます。
 しかし、復活された主は彼らを見捨てることなく最後まで愛し、導かれました。彼らの信仰もだんだんと強められていったのです。
 私たちも聖霊によって、主イエスを神の御子、救い主と信仰告白できました。 (コリント人への手紙 第一 12章3節p344)
 私たちの信仰がたとえ小さなものであったとしても、主はそれを喜ばれます。そして、私たちの歩みを導かれ、信仰を強め、成長させてくださるのです。
 教会の土台、大岩盤はイエス・キリストです。岩なるキリストを人生の土台とし、信頼して歩みましょう。(コリント人への手紙 第一 3章11節p329)