イエスは言われた。「どうして怖がるのか、信仰の薄い者たち。」それから起き上がり、風と湖を叱りつけられた。すると、すっかり凪になった。マタイの福音書8章26節 (p14)
序 論)主イエスは弟子たちと共にガリラヤ湖の向こう岸に渡ろうとされました。(17)
そのときにみもとに来た律法学者と一人の弟子に言葉をかけられました。(18-22)
その後、主は向こう岸に向かわれます。(23)
湖上と着かれた地で起こった出来事とそれらのことを通して示されることは…
本 論)
1.嵐を静められる
然、激しい風が吹き始め、湖は大荒れとなりました。 (24a)
ガリラヤ湖はすり鉢状になっていて、周囲の山から突風が吹くこともありました。
舟は沈みそうになりました。
ところが主イエスは舟の中で眠っておられました。(24b)
湖を渡る前に、多くの人たちを癒された主は疲れておら れたことでしょう。
慌てふためき、動揺した弟子たちは、主に助けを求めます。(25)
主は弟子たちに彼らの信仰が薄いことを指摘されました。(26ab)
それから「起き上がり、風と湖をしかりつけられ」ました。すると嵐は収まったのです。(26cd)
神の御子イエス様は、自然界をもご支配なさるお方であることを示されました。(詩篇89篇9節p1027、詩篇107篇29節p1050)
弟子たちは驚いて、「…いったいこの方はどういう方なのだろうか」と言いました。(27)
2.ガダラ人の地で悪霊を追い出される
主イエスは弟子たちと共にガリラヤ湖の向こう岸に着きました。(28a)
そこは、「ガダラ人の地」でした。(ガリラヤ湖の南東側)
そこで悪霊につかれた二人が主をお迎えしました。
彼らは墓場に住んでいたのです。
凶暴で異常な力が彼らの内に働いていました。(28b)
しかも、悪霊は主イエスがどのようなお方であるかを知っており、おびえていました。(29)
ここでの「その時」とはやがて主イエスによるさばきがなされる「終わりの日」(主の再臨の時)のことです。
彼らはその時が来ることも知っていたのです。
主イエスによって追い出されることを知っていた悪霊どもは近くで飼われていた豚の群れに入ることを願いました。(30-31)
主は二人から悪霊を追い出されました。(32)
悪霊どもは豚に入り、その群れ全体が湖になだれ込みました。
豚を飼っていた人たちは逃げ出し、町に行き、起こった出来事を人々に知らせました。(33)
町中の人たちが主イエスに会いに出てきました。(34a)
そして、彼らは主にその地方から立ち去ってほしいと懇願 しました。(34b)
主イエスは、豚の命を犠牲にして二人を悪霊から解放されました。しかし、そのことは人々に喜ばれず、理解されなかったのです。
結 論) 弟子たちは、イエス様が神の御子であり救い主であることの本当の意味がまだ分かっていませんでした。(27)
主は彼らと共におられ、彼らを教え、訓練し、導こうとなさっていました。
主イエスは自然界や霊の世界もご支配なさるお方です。
大嵐の中で安眠される「人の子」イエス様は、その波風を静められる「神の御子」であられました。
大風を静められた主は、私たちの試練の波風をも静めて くださり、心に平安を与えてくださるお方です。
主イエスは悪霊につかれた人を救うために豚の生命を犠牲にされました。
そして、主はすべての人の救いのために十字架で死なれ、 復活してくださったのです。
聖書のみことばと祈りを通し、すべてをご支配なさるお方、主イエスとの交わりを深めてまいりましょう。
(参考)
『悪霊』(ドストエフスキー(1821-1881) (ロシアの作家)