テサロニケ人への手紙 第一 5章12~24節

絶えず祈りなさい。すべてのことにおいて感謝しなさい。これが、キリスト・イエスにあって神があなたがたに望んでおられることです。  テサロニケ人への手紙 第一 5章16-18節 (p.413)

序 論)テサロニケ人への手紙は使徒パウロが第二回伝道旅行でテサロニケ(ギリシヤ北部の都市)を訪問した数か月後に書いた手紙です。AD51年頃、コリントで書かれたと考えられています。
 この書の後半(4-5章)で、主の再臨を待ち望むことと 主のわざに励むことが勧められています。
 今回の箇所を通して示されることは…

本 論)
1.互いに平和を保ち、励まし合いなさい
 パウロは「兄弟たち」(教会の兄姉)に当時の指導者たち(長老たち)に敬意を払うようにと勧めます。(12-13a)
 また教会内に「平和を保つ」ことを命じます。(13b)
 ここでの「平和」(ヘブライ語では「シャローム」)はただ争いがない状態ではなく、もっと積極的に、神様の祝福が満ちている状態、恵みと喜びに溢れている様子を示す言葉です。
 「お互いに平和を保ちなさい」は、互いに愛し合い、祈 り合っていくという意味が込められています。
 さらにパウロは、対人関係についていくつかの勧めをし ます。(14-15)
 ここでの「怠惰な者」(14)とは主の再臨が近いとして働くことを止めた人たちです。パウロは彼らに警告しています。
 「小心な者」は迫害等の苦難のため落胆している人たち のことです。パウロは彼らを励まし、心身や信仰の弱って いる者たちを世話し、励ますように命じます。(14)
 そして、すべての人に対して寛容であること、復讐をしないこと、善行を勧めます。(15)

2. 神が望んでおられること
 神様のみこころは教会の人たちが「きよくなること」です。(テサロニケ人への手紙 第一4章3a節p411)
 さらにパウロは「神があなたがたに望んでおられること」 として、三つのことを命じます。(16-18)
 「いつも喜んでいなさい。」(16) ここでの「喜び」は 「御霊の実」の一つです。(ガラテヤ人への手紙5章22-23節p382)  
 この喜びは主イエスの十字架と復活による救いのみわざ によって与えられる実です。
 そして、これは主ご自身を喜ぶことにつながります。
 「主を喜ぶことは、あなたがたの力だからだ。」(ネヘミヤ記8章11節p847)
 「絶えず祈りなさい」(17)はただ決まった形で声を出して祈ることをずっと続けるという意味ではありません。このみことばは常に神様に信頼することを指しています。
 「すべてのことにおいて感謝しなさい」(18)のみことばに続いて「キリスト・イエスにあって…」と言われているように、ここには主イエスに結ばれて、主イエスの御力と支えによって、感謝するという意味が込められています。
 ここでの感謝は贖い(救いのみわざ)を成してくださった主イエスにあって、神様に感謝することです。
 逆境や苦難のときも共にいてくださる主が私たちを慰め、励まし、支えてくださいます。
 最後にパウロは五つのことを命じます。(19-22)
 みことばを聞くことをせず、祈りや公私の礼拝を怠り、神様との交わりを失うなら、「御霊を消す」ことになります。(19)
 「預言すること」(20)は、霊の賜物の一つです。それは神のみことばを取り次ぎ、人々に伝えることです。
 預言は正しいかどうかをよく「吟味し」、真実なものを受け入れることが大切です。(21)
 そして、偽りの教えや罪に誘惑する悪から離れることです。(22)

結 論)23-24節は、「平和の神」へのパウロの祈りの言葉が記されています。
 神様が聖霊によって、私たちの内に働かれ、私たちを聖なる者としてくださいます。
 そして、日々、キリストに似る者へと成長させてくださいます。それは、神様の御恵みと御力によることなのです。                 (ピリピ人への手紙1章6節p394)
 新しい一年、主の再臨を待ち望み、みことばと祈りによって主との交わりを深め、互いに愛し合いながら、主に仕えてまいりましょう。