コロサイ人への手紙3章12~17節

キリストのことばが、あなたがたのうちに豊かに住むようにしなさい。知恵を尽くして互いに教え、忠告し合い、詩と賛美と霊の歌により、感謝をもって心から神に向かって歌いなさい。       コロサイ人への手紙3章16節 (p.405)

序 論)コロサイ人への手紙は、使徒パウロが小アジアの町のコロサイ(現在のトルコ共和国領内)の教会の人々に対して書いた手紙です。
 手紙の前半、1章と2章は、主イエスによる救い、福音の内容、神様の私たちへのご愛、主の恵みに応えて私たちはどう歩むかを伝えています。
 3章の前半(1-17)ではキリスト者の生活の三つの原則が述べられています。①上にあるものを求めること(1-4)②「古い人」を脱ぎ捨てること(5-11) ③キリストの「愛の衣」を身に付ける(12-17)です。
 「着る」は「性質を受け継ぐ」という意味です。「主イエス・キリストを着なさい」(ローマ人への手紙13章14節p319)は「キリストの愛を受け継ぎなさい」、「愛においてキリストに似た者となりなさい」という願いが込められています。
 今回の箇所を通して示されることは…

本 論)
1.主イエスのご愛と赦しをいただいた者として
 パウロは「新しい人」(10)の特質、その徳目の実践を勧めます。(12)
 「深い慈愛の心、親切、謙遜、柔和、寛容」は「御霊の実」です。(ガラテヤ人への手紙5章22-23節p382)
 続いて互いに忍耐し合い、赦し合うことを勧めます。(13)
 私たちは、主イエスの十字架により、罪の赦しをいただいたものです。主のご愛と赦しをいただいて私たちは人を愛し、赦し合うことができるのです。
 さらにパウロは12~13節で述べたすべての徳目の上 に愛を加えることを勧めます。(14)
 ここでは「愛」が身に着けたばかりの「衣服」を一緒に結ぶ「帯」にたとえられています。

2. 主によって父なる神に感謝
 「キリストの平和」は、罪人であった私たちが、キリストによって罪赦され、神様との和解と交わりの回復をいただくことによって与えられる「平和」です。(コロサイ人への手紙1章19-20節p402)
 キリストによって与えられる罪の赦しの「平和」は、個人的なもの、内面的なものに留まっているものではありません。キリストによって罪赦され、愛と「平和(平安)」をいただいている私たちは隣人に対して寛容であることができ、人との間に「平和」をつくることができます。(マタイの福音書5章9節p6)
 人と人との平和は神様と人との平和から生まれます。神様は、神との平和、神との交わりに生きる者を人との平和のために用いてくださいます。
 さらにパウロは「感謝の心を持つ人になりなさい」と勧めます。(15c)
 神様が、キリストを通して私を愛してくださったご愛を 知り、互いに仕え合い、愛し合うとき、私たちは神様にも隣人に対しても感謝の心が溢れてきます。
 「キリストのことば」(16)は、主イエスご自身が語っておられることばという意味と、聖書が主イエスを証ししていることばという意味があります。
 主イエスは「…その聖書は、わたしについて証ししているものです。」(ヨハネの福音書5章39節p187)と言われます。聖書(旧約聖書、新約聖書)はイエス様が神の御子、救い主(キリスト)であることを証ししているのです。
 16節の言葉のように、聖書のことば、キリストのことばを心に蓄えていきましょう。(ここでの「住む」は「中に住む、内住する」を意味する。ここでは主のことばを心に深く止めると言う意味。)ただ聖書を知識として知るだけでなく、そこに記されていることばを通して、主イエスとの交わりを深めてまいりましょう。

結 論)「詩と賛美と霊の歌」(16b)は旧約聖書の詩篇の詩や新たに作られた讃美歌のことだと言われています。
 「歌いなさい」の「歌う」は「(神様を)ほめたたえる、(神を賛美して)ほめ歌う」という意味です。
 「主イエスによって父なる神に感謝し」(17)とあるように主イエスは十字架と復活によって私たちの救いと神との和解を成してくださいました。
 私たちはこのお方を通して父なる神様に感謝をささげることができます。
 「すべてを主イエスの名において行いなさい。」(17) 何事をするにも主イエスと共に、主の御名があがめられるために行いましょう。
 今年一年間を振り返り、神様の恵みを覚え、主を賛美します。
 新しい一年も主と共に歩み、主のご愛と恵みを証ししてまいりましょう。