ペテロの手紙第一 1章1~9節

私たちの主イエス・キリストの父である神がほめたたえられ
ますように。神は、ご自分の大きなあわれみのゆえに、
イエス・キリストが死者の中からよみがえられたことに
よって、私たちを新しく生まれさせ、生ける望みを持たせて
くださいました。
              Ⅰペテロの手紙1章3節 (p.465)

序 論)この書は、主イエスの十二弟子の一人である
ペテロが書いた手紙です。彼は、当時アジア(現在のトルコ
共和国の中部から北部)に散らされていたキリスト者たち
に向けてこれを書いたと考えられています。この章で、彼
は自分たちに与えられた救いについて語ります。ペテロの
教えを通して示されることは…

本 論)
1.試練の中での喜び
 ペテロはあいさつ(1-2)の後に、自分たちに与えられた救

いが素晴らしいものであることを教えています。まず過去
における救いを語ります。
 「新たに生まれさせて」(3)の原語の言葉は聖書ではこの
章だけに用いられています。(1章23節)(ヨハネ福音書3
章3節の「新しく生まれる」は、原語ではこの箇所とは別
の言葉が使われている)
 主イエスは十字架と復活によって私たちのために救いの
みわざを成してくださいました。私たちが「新たに生まれ
る」ことは、イエス様を神の御子、救い主と信じることに
よってもたらされます。
 そして、主の復活は私たちに「生ける望み」を持たせて
くださいました。(3)
 それは、地上の生涯にはいつか終わりがありますが、
主を信じる者は地上においても、やがて天の御国に移され
るときも永遠のいのちに生かされることです。
 神様が御子イエス様を通して成された救いは決して消え
ることはありません。(4)
 さらに「終わりの時に啓示さるべき救い」とは主イエス
の再臨のとき、私たちも復活の恵みにあずかり栄光の体を
与えられることです。その救いにあずかる神の民(私たち
キリスト者)は、現在もこれからも神の御力に守られている
のです。(5)
 当時の教会は、大きな迫害の中にありました。しかしそ
のような「さまざまな試練」の中にあっても大きな喜びが
与えられていました。(6)それは、「主にある喜び」(主か
らいただく喜び、主との交わりを通して与えられる喜び)
によるものです。

2.試練で試される信仰  
 この手紙の著者である使徒ペテロも当時のキリスト者

たちも、再び来られる主イエスを待望していました。
 ペテロは、アジア地方のキリスト者たちに、彼らがすで
に魂の救いを得ていること、その信仰は試されて、金より
も尊いものであることを思い起させました。(7、9)
「試練で試されたあなたがたの信仰」(7)は原文では「あなた
がたの信仰の試練」という意味の言葉が使われています。
キリスト者は、地上では様々な試練や苦しみがあったとし
ても、イエス・キリストの再臨のときに賛美と栄光と誉れ
に共にあずかることができるのです。 (7)
 この時代に救いにあずかった人たちは、ペテロの世代の
人たちとは違って、キリストのなさったことを直接、目で
見たことはありません。しかし聖霊により「見ないで信じ
る信仰」(ヨハネ福音書20章29節p.)が与えられ、
キリストを愛し、主の恵みと喜びにあずかっていました。(8)
 主のご愛と恵みにあずかることが神様を愛し、隣人を愛
する歩みにつながります。
 新しく生まれた者たちは、信仰の結果である「たましい
の救いを得ている」から苦難の中にも喜びにあふれていま
す。(9) これこそ、聖霊によって主イエスを信じ従ってい
る者に与えられる恵みです。(ここでの「たましい」は「霊
魂」という意味ではなく、人間一人ひとりの生命全体を指
す言葉として用いられている)  

結 論)主イエスを信じ、従う者はすでに永遠のいのちに生
かされています。
 そして、主の再臨のときに与えられる恵みを待ち望みつ
つ歩みます。
 「こういうわけで、いつまでも残るのは信仰と希望と愛、
これら三つです。その中で一番すぐれているのは愛です。」
    (コリント人への手紙 第一 13章13節p346)
 私たちも信仰の先達にならい、主の再臨を待ち望む希望
を持ち、主を愛して歩んでまいりましょう。