エペソ人への手紙4章25節~5章2節

互いに親切にし、優しい心で赦し合いなさい。神も、キリス
トにおいてあなたがたを赦してくださったのです。ですから、
愛されている子どもらしく、神に倣う者となりなさい。また、
愛のうちに歩みなさい。キリストも私たちを愛して、私たち
のために、ご自分を神へのささげ物、またいけにえとし、芳
ばしい香りを献げてくださいました。
エペソ人への手紙4章32節 ~5章2節(p.389)

序 論) ペンテコステ(聖霊降臨日)は、主イエスを信じる
弟子たちに聖霊が降られ、世界で初めて教会が誕生したこ
とを記念する日です。(使徒の働き2章1-4節p233
                               2章41-47p236)
  今回の箇所は、使徒パウロがエペソ教会の人たちに書い
た手紙の一部です。この箇所を通して示されることは…

1.真実と愛の言葉
 主イエスを信じ、救いの恵みにあずかった者に対し、パ
ウロはその人は「古い人を脱ぎ捨て」、「新しい人を着た」
のだと言います。(22-24)
 聖霊によって私たちは霊と心が新しくされ続け、
キリストに向かって成長していきます。(16)
 そして「私たちは互いにからだの一部分なのです」と語
ります。(25) 私たちは、「キリストのからだ」である教
会の一部分です。
    「あなたがたはキリストのからだであって、一人ひとり
はその部分です。」
(Ⅰコリント人への手紙12章27節p345)
 私たちは、主にある交わりの中で、ともに成長していき
ます。
  「偽りを捨て、それぞれ隣人に対して真実を語りなさい」
(25)
 そして、「怒っても、罪を犯してはなりません」(26)と勧
告します。 怒りは、悪魔が働き、つけ入る機会を与えてし
まいます。(27)
 そして、自らのためだけでなく、「困っている人たちに
分け与えるため」(28)、正当な勤労に励むよう勧めます。

 2. キリストにならう者
 さらにパウロは「悪いことば」ではなく、「人の成長に

役立つことば」を語るように勧めます。(29)
「人の成長に役立つ」の元の言葉は建物を「建て上げる」
という意味の言葉です。クリュソストモスという神学者は
「隣人を建て上げることだけを語れ、そのために神はあな
たに口を与え、舌を授けられた。」と語っています。
 聖霊と聖書のみことばによる励ましや慰めを主からいた
だいている者は、人に励ましや慰めの言葉を語ることがで
きるのです。
 26-29節に語られているような、古い人の言行が聖霊

を悲しませます。(30)
 「贖いの日」(30)は、主イエスが再臨される日、神様が
成される救いの完成の日のことです。
 31節に記されているのは「古い人」の罪の心であり、
それを捨て去りなさいと勧めます。
 32節は「新しい人を着た」者がこのように変えられる
ことを示しています。
 神様がキリストにあって私たちを赦してくださいました。
赦された者であるからこそ、人を赦し、神様に愛されてい
るからこそ、人を愛することができるのです。
 神様は私たちを「神の子」として愛しておられます。                        (5章1節)
神様はキリストにおいて私たちに対する最大の愛を示して
くださいました。
            (ヨハネの手紙 第一 4章9-10節p483)          

結 論)ペンテコステ以降、イエス様を神の御子、救い主
(キリスト)を信じ、心に受け入れる者には、聖霊によって
御子がその人のうちに住んでくださいます。
 (ローマ人への手紙8章14-16節p309)
 私たちは聖霊の力、私たちのうちに注がれる神様のご愛
によって、神を愛し、人を愛する者とされるのです。
                    (5章2節)
 主イエスを信じ、従う者は、キリストにならう者でも
あります。
 トマス・ア・ケンピスが『キリストにならいて』という
書物を記しています。「神に倣う者」(5章1節)とは、
キリストにならう者です。
 主イエスが父なる神様に祈りながら歩まれたように、
私たちも神様に祈りながら、イエス様と共に愛のうちに
歩んでまいりましょう。

(参考)

クリュソストモス(AD347年頃―407)
  (「金口(きんこう)ヨハネ」とも呼ばれる。
     (東ローマ帝国 コンスタンティノープルの大主教)
       (現在のトルコ共和国 イスタンブール)

トマス・ア・ケンピス(1379-1471)
      (ドイツ出身の司祭 聖アウグスチノ修道会副院長)