使徒の働き24章22節~25章5節

数日後、フェリクスはユダヤ人である妻ドルシラとともに
やって来て、パウロを呼び出し、キリスト・イエスに対す
る信仰について話を聞いた。しかし、パウロが正義と節制
と来たるべきさばきについて論じたので、   フェリクスは
恐ろしくなり、「今は帰ってよい。折を見て、また呼ぶこと
にする」と言った。
                     使徒24章24-25節(p.287) 

序 論)大祭司アナニヤの雇った弁護士テルティロは総督
フェリクスの前でパウロを訴えました。(2-8)
 それに対して、パウロは弁明しました。(10-21)
 それを聞いた後のフェリクスの言動とパウロの上に起こ
ったことは…

本 論)
1、パウロ、フェリクス夫妻の前で福音を語る
 総督フェリクスは、千人隊長リシアを証人として迎えて
から判決を下すことにし、裁判を延期しました。(22)
 その結果、パウロは「ある程度の自由」を与えられ、軟
禁状態に置かれます。(23)
 パウロは何度か、フェリクス夫妻に「イエス・キリスト
に対する信仰」について語る機会が与えられました。(24)
 「妻ドルシラ」(24)は、ヘロデ・アグリッパ1世(在位
AD37-44年)(使徒12章1節p257)の末娘であり、
ヘロデ・アグリッパ2世(在位AD44-100年頃)
(使徒25章13節)の妹でした。彼女も、「イエス・キリスト
に対する信仰」(24)に関心を持ったのかもしれません。
 パウロは、恐れることなく、二人の前で福音を説き、
「正義と節制と来たるべきさばき」について語りました。
(25)
 「来るべきさばき」とは、主の再臨の時に起こるすべて
の人のよみがえりとさばきのことです。
      (ヨハネの福音書5章27-29節p186参照)
 フェリクスは、パウロが語る「神の言葉」に「恐ろしく
なり」、説教を中断させました。(25) 彼は、これまでの
自分の言動を顧み、恐れを感じたのでしょう。
 彼は、パウロのメッセージを自分のこととして受け取め
るだけの良心は持ち合わせていましたが、悔い改めには至
りませんでした。
 また彼には、パウロからお金をもらいたいという「下
心」がありました。(26)
 彼は、二年間、パウロを釈放しませんでした。パウロは
仲間たちの世話を受け、軟禁状態で日々を送りました。
 その間、パウロは何度か、フェリクス夫妻に福音を語る
機会が与えらえます。(26)

2、新総督フェストゥス、エルサレムに上る
 二年後、ユダヤ総督は交代しました。しかし、フェリク
スはユダヤ人の顔色をうかがい、パウロを投獄したままに
しておいたのです。(27)
 新総督フェストゥスは着任するとわずか三日後にカイサ
リアからエルサレムに出向きました。(1)
 ユダヤ総督の最大の任務はエルサレムの統治でした。
    この機会をとらえて、ユダヤ人たちは再びパウロを訴え、
その審理をエルサレムで行うように懇願しました。(2-3)
彼らはパウロ暗殺計画をまだ放棄していなかったのです。
 しかし、フェストスはユダヤ人たちの陰謀を見抜いてい
たのでしょう。彼は、彼らの願いを拒みました。
 フェストゥスは、パウロを訴えるユダヤ人たちに、カイ
サリアで訴訟手続きを取るように促しました。(4-5)
 彼はカイサリヤに下ると、直ちにパウロの裁判を開廷し
ます。(6)
 パウロがカエサルの法廷に上訴し、ローマに向かう日が
近づいていました。

結 論)カイサリアに留められていた二年間、パウロはど
んな思いを持って日々を過ごしたことでしょう。
 この期間は、パウロにとって主イエスの約束を信じ、
忍耐し、主の時を待ち望むときとなりました。
                (使徒23章11節p283-284)
 私たちも思うとおりに行かないように感じてしまうとき
があります。そのようなときこそ、主を仰ぎ、希望をもっ
て待ち望みましょう。
 長い期間、あるいは短時間であっても、私たちにとって
「神を待ち望む」時を持つことが大切です。
 そして、示された時が来たら、主に信頼し、お委ねして
新たな一歩を踏み出し、進んでまいりましょう。

(参考)
ヘロデ大王 (BC37-4年 ユダヤの王として在位)
                       (マタイの福音書2章3節) 
ヘロデ・アンティパス(BC4-39年 ユダヤ領主)
                (マタイの福音書14章1節、
             マルコの福音書6章14節等)