使徒の働き23章12~35節

神を愛する人たち、すなわち、神のご計画にしたがって召さ
れた人たちのためには、すべてのことがともに働いて益とな
ることを、私たちは知っています。
             ローマ人への手紙8章28節(p.310) 

序 論)パウロは最高法院の裁判に臨み、被告人として発
言しましたが、議場は大騒ぎになってしまいました。
千人隊長は、パウロの身に危険が迫ったことを察知し、彼
を議場から引き出し、アントニア城塞の兵営に連れていき
ました。(6-10)
 その夜、主イエスはパウロに語りかけられます。(11)
主は、勇気を出して、ご自身を証しをするようにと励まさ
れました。
 その後、パウロの身の上に起こったことを通して示され
ることは…

本 論)
1、パウロ暗殺の陰謀
 夜が明けると、四十人余りのユダヤ人たちがパウロ暗殺
計画を企てます。(12-13) 「呪いをかけて誓った」は彼
らの強い決心を示しています。(当時の武装した集団だった
と考えられている)
 彼らは祭司長らの協力を得てパウロをもう一度議会に誘
い出そうとします。その途中で彼を殺害しようとしたので
す。(13-14)
 この計画を「パウロの姉妹の息子」(パウロの甥)(16)が
聞き、パウロに知らせました。
 パウロの甥は、千人隊長に会いました。(17-19)
 千人隊長はじきじきに青年(パウロの甥)から話を聞き、
この報告が信頼できることを確信します。(20-21)
 彼は、青年に堅く口止めして去らせました。(22)
 千人隊長は、パウロの保護に万全を期すため、アントニ
ア城塞の兵営からカイサリアへ彼を移送することにしまし
た。

2、カイサリアに移送される
 千人隊長は、総勢470名の兵士をパウロの護衛に付け
ました。(23) これだけの人数の警護は、パウロを取り巻
く状況が切迫していたことを考慮したからでしょう。
 カイサリアには、ローマ総督フェリクスが常駐していま
した。(24)(在位期間AD52~60年頃)(残忍な悪政を敷い
た人物で、ユダヤ人の反ローマ感情を煽った人物だと言わ
れている。)
 千人隊長は、総督宛の手紙を兵士に持たせます。手紙の
内容は以下のようなものでした。(25-26)
 まず「ローマ市民」(27)であるパウロを隊長が救い出し
たいきさつ。(この箇所は自己保身のため、虚実とりまぜて
書かれている)
 次にパウロに対する訴えが宗教上の理由であること。
(28) そして、彼には「死刑や投獄に当たる罪がない」と
判明したこと。(29)
 最後に、エルサレムでは、彼の安全が保障できないので、
総督に身柄を預けたいこと。もし、彼に対するユダヤ人か
らの訴えがあれば総督自身に審理を仰ぎたいということ
でした。(30)
 エルサレムから「アンティパトリス」まで(約60キロ)
は、総勢でパウロを護送し、そこからカイサリヤまで(約
40キロ)は騎兵に任せました。わずか一昼夜の迅速な護送
でした。(31-33)
    総督フェリクスは、パウロに会い、千人隊長からの手紙
を読みました。(34)
    そして、彼の出身地を確かめた上で「ヘロデの官邸」
に保護しました。(34-35)
 この官邸は、ヘロデ大王(在位BC37~AD4年)がカイ
サリアに建てた宮殿で、フェリクスはそこに総督の官舎を
置いていました。

結 論)エルサレムで、神殿にささげものをしたことがき
っかけとなって、パウロは逮捕されてしまいました。
         (使徒21章26節~23章10節)
 人間的に見ると、思い通りにならないエルサレム訪問で
した。しかし、結果的には、パウロは行くことを願ってい
たローマにさらに近づいていくことになりました。
 パウロが困難を乗り越え、目的地に向かっていく道を開
いてくださったのはパウロを励まされた主イエスご自身で
した。
 私たちの歩む道も、困難に思えるときがあるかもしれ
ません。しかし、主イエスはどんなときも私たちと共におら
れ、私たちを導かれ、万事を益としてくださるのです。
        (ローマ人への手紙8章28節p.310)
 救い主イエス様を信頼し、共に歩み続けてまいりましょう。