私たちがエルサレムに着くと、兄弟たちは喜んで迎えてくれ
た。翌日、パウロは私たちを連れて、ヤコブを訪問した。
そこには長老たちがみな集まっていた。彼らにあいさつして
から、パウロは自分の奉仕を通して神が異邦人の間でなさっ
たことを、一つ一つ説明した。
使徒21章17-19節(p.279)
序 論)カイザリヤで信徒伝道者のピリポの家に宿泊した
後、パウロ一行はエルサレムに向かいました。(21章8-
15) そして、ついにエルサレムに到着しました。(17)
そこでパウロに起こったことと、それを通して示される
ことは…
本 論)
1、ユダヤ人キリスト者への配慮
翌日、パウロたちはヤコブを訪ねます。そこでは、長老
たちの会議が開かれていました。(18)
パウロが異邦人伝道の報告をすると、一同は神様をほめ
たたえます。(19-20a)
続いて、彼らはパウロに対して懸念を表明します。ユダ
ヤ人キリスト者たちが、パウロは「…モーセに背くように
教えている」(21)と言って、問題視しているというのです。
彼らはパウロに勧めをします。(23-24)
ヤコブを始めエルサレムの指導者たちは、パウロに対す
るユダヤ人キリスト者たちの誤解を取り除くため、パウロ
に歩み寄りを求めました。(律法に定められていることを守
っていることを示す)
そして、「信仰に入った異邦人」は律法から自由である
との原則が、再び確認されました。(25)
(使徒15章19-20節p.265)
パウロは、ユダヤ人キリスト者たちの誤解を解くため、
誓願する者たちの費用を引き受け、彼らと共に七日間、神
殿に通いました。(26)
(使徒18章18節p272、 民数記6章2-12節p245参照)
ヤコブもパウロもエルサレム教会と異邦人教会の一致を
願ってユダヤ人キリスト者たちに配慮したのです。
しかし、かえってそのことがパウロが逮捕されるきっか
けになってしまいます。
2、宮での騒動と逮捕
きよめの期間の終了間際に「アジアから来たユダヤ人た
ち」(エペソ出身のユダヤ人たち)が、パウロに手をかけ、
「この男は…ギリシヤ人を宮の中に連れ込んで、この神聖
な場所を汚しています」と叫び、ユダヤ人の群衆を扇動し
ました。(27-28)
パウロが異邦人「トロフィモ」を宮(神殿)に連れ込んだ
というのは、彼らの誤解でした。(29)
大騒ぎの中、群衆は「宮の外」で、パウロに暴行を加え
て殺害しようとしました。(30)
この混乱状態は直ちに、神殿の近くを警備する「ローマ
軍の千人隊長」(31)に報告されました。彼らの介入でパウ
ロは生命の危険から免れました。
しかし、パウロは正式に逮捕されてしまいます。(33)
当時「二本の鎖で縛る」(33)ことは、大きな犯罪を犯した
人に対する仕方でした。
千人隊長は、パウロが「何者なのか、何をしたのか」と群
衆に尋ねました。しかし、彼らは冷静に受け答えすること
ができませんでした。(33)
彼は、確かなことが分からなかったので、パウロを兵営
へと連行します。(34) そこで、パウロに尋問するため
でした。
このときの彼は、パウロは「最近、暴動を起こしたエジ
プト人だ」と誤解していたのです。(38)
結 論)ユダヤ人キリスト者たちは、パウロを「無律法主義
者」だと誤解しました。
ユダヤ人キリスト者、アジア出身のユダヤ人たち、群衆、
千人隊長たち、それぞれが、パウロやその仲間たちのこと
を誤解していました。
彼らの誤解がもとで、この後、パウロは約2年間、エル
サレムに留め置かれることになりました。しかし、人間の
目には行き詰まりと思えたこのような出来事によって、結
果的にはパウロのローマ行きが実現していくことになります。
人間の思いや行いを超えて、神様は全能の御手をもって
ご計画を進めていかれます。神様は、パウロを通して「異
邦人の福音」を世界に宣教しようとしておられたのです。
私たちもときには、人から誤解されたり、行き詰まりと
思えるようなことに直面することがあります。
しかし、神様は私たち一人一人の歩みに対しても大きな
ご計画をもって導いておられます。
神様の全能の御手を信頼し、お委ねして歩み続けましょう。