エペソ人への手紙4章1~16節

むしろ、愛をもって真理を語り、あらゆる点において、かし
らであるキリストに向かって成長するのです。キリストによ
って、からだ全体は、あらゆる節々を支えとして組み合わさ
れ、つなぎ合わされ、それぞれの部分がその分に応じて働く
ことにより成長して、愛のうちに建てられることになります。
                   エペソ4章16-17節(p.389) 

序 論)エペソ人への手紙(エペソ書)は、パウロがエペソ
の教会あてに書いた手紙です。その頃、彼はローマの獄中
にいる「囚人」(1)でした。(AD61年頃)
 エペソ書の前半(1~3)は、主イエスの十字架と復活に
より私たちに与えられた神の恵みが告げられています。
 4章からは、キリストを信じ、従う者がどのように歩む
かが記されています。(1)
 今回の箇所を通して示されることは…

 

本 論)

1、御霊による一致と様々な賜物
 キリストは「自らを低くして」、謙遜の模範を示されま
した。(ピリピ人への手紙2章8節p396)
    キリストの御跡に従うパウロも「謙遜の限りを尽くして」
主と教会に仕えました。(使徒20章19節p.277)
 キリストの謙遜、柔和、寛容、愛、忍耐にならって、パ
ウロが歩んだように、キリストにならうように勧めます。
(2)
 そして、主にある平和の絆で結ばれて、御霊(聖霊)に
よる一致を熱心に保つようにと勧めます。(3)
   4-6節は御霊による一致を保ちなさいと勧める理由が
記されています。この箇所は当時の初代教会の賛歌の一節
だったと言われています。
 「からだは一つ」(4)の「からだ」はキリストのからだ、
教会のことです。 (エペソ人への手紙1章23節p384)
         (ローマ人への手紙12章5節p317)
 神様が与えてくださった救いの恵みは同じですが、一人
ひとりに与えられている「賜物」は、十人十色、様々です。(7)

    8節は詩篇68篇18節(p1000)の引用です。ここでの
「彼」はキリストを意味し、「捕虜」は、罪から解放され
た人たち(キリスト者)を指しています。「贈り物」は賜物
のことです。「高き所」は、天、神の右の御座と受け止め
ることができます。
 主イエスが「低い所」に降られたとは、この地上に来ら
れたこと、そして十字架にかかられ、陰府(よみ)にまで降
られたことを示しています。(9)
    主イエスはその後、復活され、昇天され、神の右の座に
着かれました。(10)
    これらのみことばにも示されている主イエスの十字架と
復活による救いの恵みに与っている人たちの集まりが教会です。

2、キリストに向かって共に成長する
 主イエスご自身が、教会の中から、それぞれの職務に就
く人たちを任命されました。(11)
 聖徒たちを整え、キリストのからだを建て上げるために、
主イエスは教役者をお立てになったのです。(12)
 教会は「神の御子に対する信仰と知識において一つにな
り」(13)、「一人の成熟した大人」(「全き人」(単数形)
 (口語訳)(教会としての完成)となるため、キリストに向かっ
て共に成長していきます。
 旧約聖書の創世記の中で、ノアは「全き人」(6章9節)
 と言われ、アブラハムは神様から「…全き者であれ。」
と命じられています。(17章1節)  ノアもアブラハムも
神様に信頼し、神と共に地上の生涯を歩みました。
 エペソ書で言わている「全き人」は、主イエスに信頼し、
主と共に歩み続ける人です。
 主にあって一つになり、キリストに向かって成長すると
き、私たちは間違った教えや悪の誘惑に振り回されること
はありません。(14)
 「真理を語り」(15)の原語は「誠実である、真実に生き
る」を意味する言葉です。文語訳聖書では、「真(まこと)
を保ち」と訳されています。
 「あらゆる点において、…」(15)は、バランスの取れた
成長が求められていることを示しています。神様にとって
私たち一人ひとりが大切な存在であり、私たちが共に成長
することを願っておられるのです。 

結 論)「あなたがたはキリストのからだであって、一人ひ
とりはその部分です。」
    (コリント人への手紙 第一12章27節p345)
 からだのあらゆるパーツ(部分)がそれぞれの役割を果た
しつつ頭である主イエスに血液(いのち)と神経(みことば)
で全身がつながって一致している。これが「キリストのか
らだである教会」です。
 からだ全体が、「あらゆる節々を支えとして組み合わさ
れ、…成長」するように(16)、教会もそれぞれが賜物を生
かして主に仕え、祈り合い、協力し合うことによって、成
長し、キリストの愛のうちに建て上げられていきます。
 キリストの愛と赦しをいただいている者として、互いに
愛し合いながら、共に成長させていただきましょう。