使徒の働き19:21~40

ところが、見聞きしているように、あのパウロが、手で造った物は神ではないと
言って、エペソだけでなく、アジアのほぼ全域にわたって、大勢の人々を説き伏せ、
迷わせてしまいました。
                使徒19章26節(p.275)

 「あなたの神である主を礼拝しなさい、主にのみ仕えなさい。」
       ルカの福音書4章8節(p.115) 

序 論)使徒19章は、パウロの第三回伝道旅行におけるエペソでの活動が記されて
います。約二年間そこで宣教した後(10)、パウロはエルサレムに行こうとしていま
した。(21)
   「ローマを見る」(21)は、当時のローマ帝国の首都、ローマで宣教することです。
その後、イスパニア(スペイン)に行くことがパウロの願いでした。
(ローマ人への手紙15章24節p.322)
その頃、起こった「大変な騒ぎ」(23)とそれを通して示されることは…

本 論)人の手で造られた物(偶像)は真の神ではない
    「この道」(23)とは、イエス・キリストを信じ、従うことでした。
 エペソは「アルテミス神殿」があり、アルテミスという名の女神信仰の中心地で
した。この女神は豊穣を司る神とされていました。
 パウロの宣教は、神殿周辺で行われていた「観光産業」に痛手を与えました。
(24-27)
    銀細工人のデメトリオは、その産業の元締めだったようです。(24) 彼はパウロの
伝道が銀細工の売れ行きに脅威をもたらしていると言って、同業者の危機感を煽り
ます。そして、「この女神のご威光」(27)を守れと訴えました。
 このことを発端に町全体を巻き込む騒乱が起こりました。
   26節の彼の言葉は、パウロのメッセージを代弁していいます。人の手で造られた
物は真の神ではありません。神でないものを神とすることは偶像礼拝であり、
神様が与えてくださった十戒に反する罪なのです。
           (出エジプト記20章4-5節p.134)
    パウロは創造主なる神様がおられること、神の御子イエス様が救い主(キリスト)で
あることを伝えました。

2、父なる神様を礼拝する
 パウロは危うく難を逃れましたが、同行者の二人は捕られます。そして、騒乱状態
のまま「(野外)劇場」(29)での集会が始まりました。(30-32)
 混乱を治めようとして、ユダヤ人たちがアレキサンデルという人を立たせましたが、
かえって騒動が大きくなりました。(33-34)
  「町の書記官」(35)が、群衆の興奮と怒りを静めます。彼はアルテミス女神の偉大さを
確認したうえで「無謀なことをしないように」と戒めました。(36-37)
 そして、彼らが拉致した伝道者たちは神殿と女神にどんな冒涜もしていないこと、
正当な訴えは「裁判」、「地方総督」、「正式な集会(議会)」等の機関を通じて行えば
よいことを勧めました。(38-39)
 さらに、「正当な理由」がないままにこの集会を続ければ、「騒乱罪に問われる」と
警告しました。(40)
 書記官の冷静な説得と威嚇によって集会は解散し、二人の伝道者たちも危機を脱しま
した。(40)
    エペソ市の公的な仕事に携わっていた人たちが、パウロたちの伝道に好意的だった
ことにも助けられ、建て上げられた教会も守られました。

結 論) パウロは偶像崇拝から真の神様に立ち返るようにと説きました。彼の伝えた
神様は「生ける神」(詩篇84篇2節p1022)であり、
「生ける神の子キリスト」でした。(マタイの福音書16章16節p33)
 パウロたちの伝道は、どこの町でも大きな多くの反対を受けました。しかし、彼らは
「恐れないで、語り続けなさい。…この町には、
わたしの民がたくさんいるのだから。」 (使徒18章9-10 p.272)と言われる主の励まし
によって伝道を続けたのです。
 主イエスは荒野で悪魔からの誘惑を受けられたとき、
「…『あなたの神である主を礼拝しなさい。主にのみ仕えなさい』と書いてある。」と
応えられました。「…と書いてある」とは旧約聖書のみことば(申命記6章13節p326)を
もって誘惑に打ち勝たれたことを示しています。そして、それは「わたしはこのみことば
の通りに生きる」という決意の表明でもありました。(ルカの福音書4章8節p.115)
 私たちも、神様を礼拝し、主に仕えてまいりましょう。伝える人がいたからこそ、
福音は私たちにも届けられたことを忘れず、主イエスを証ししてまいりましょう。