使徒の働き19章1~20節

そこでパウロは言った。「ヨハネは、自分の後に来られる方、
すなわちイエスを信じるように人々に告げ、悔い改め
のバプテスマを
授けたのです。」これを聞いた彼らは、主イエスの名によって
バプテスマを受けた。 
使徒19章4-5節 (p.273)

序 論) アポロがコリントにいたとき(18章27-28節)、第3回の伝道旅行に
出発したパウロ(18章23節)は、エペソに向かいます。(1) エペソは、交通の
要所で、アジア州の首都として栄え、経済・文化・宗教の中心地でした。
 パウロがエペソで出会った人たちと彼の言動を通して示されることは…

1、主イエスの名によるバプテスマ
 エペソに来たパウロは、聖霊のことを知らない弟子たちの群れに出会い
ました。(1-2) バプテスマのヨハネの言動の影響は、アジアの人たちにも
広まっていました。 (ルカの福音書3章3-18節p.113等参照)
    彼らは、罪を悔い改め、バプテスマのヨハネの名による洗礼を受けました。
イエス様がキリスト(救い主)であることを信じていましたが、聖霊を受けると
いうことがわかっていませんでした。(3)
 パウロは彼らに、ヨハネが証しした主イエスのことを告げました。(4)
 パウロは、主イエスを信じる者には聖霊が内に住んでくださることも彼らに
語ったことでしょう。(ガラテヤ人への手紙4章6節p.379等)
 彼らは、主イエスの名によって洗礼を受けました。(5)
 パウロが彼らの上に手を置くと、聖霊が彼らに臨みました。彼らは異言を
語ったり、預言をしたりしました。(6) 
 彼ら十二人ほどの人たちは、聖霊によって新たにされ、この後、主とエペソ
教会のために仕えたことでしょう。(7)
 エペソの伝道においても、パウロは、ユダヤ人の会堂で三ヶ月にわたって
福音を語りました。(8)
 しかし、パウロの説教を聞いた人々の中には福音を受け入れず、悪く言う
人もいました。そこで、パウロはティラノの講堂に場所を移して伝道します。(9)

2、主イエスの名をあがめる
 ティラノの講堂は、哲学者が講義するために使用する施設だったと言われて
います。異邦人たちが出入りしやすかったと考えられます。
 パウロは二年間、ここで伝道します。それにより、アジア全域に主のことばが
響き渡りました。(10)
    パウロの伝道には主によって与えられた「驚くべき力あるわざ」が伴いました。(11)
彼の「手ぬぐいや前掛け」にも癒しと悪霊追放の力がありました。(12)
「ユダヤ人の巡回祈祷師の何人か」がパウロのまねをし、主イエスの御名を用いて
悪霊を追放しようと試みました。(13)(口語訳聖書では「まじない師」と訳されている。
彼らはまじない、占いや魔術を行う者であった。)
   しかし、悪霊は、主イエスの名やパウロのことは知っていましたが、彼ら「祭司長
スケワの七人の息子たち」のことは知らず、彼らの偽りの命令には従いませんでした。
(14-15)彼らには主イエスを信じる信仰がなかったのです。
   かえって「悪霊につかれている人」が、彼らに傷を負わせます。(16) 彼らの
主イエスの御名を、私利私欲のために利用しようとした企ては破綻しました。
 このことを通して、エペソ全体に「恐れ(畏れ)」が生じ、主イエスの御名があがめ
られるようになったのです。(17)
 主イエスへの信仰と悔い改めの実が結ばれました。信仰に入って来た大勢の人たちが、
隠れていた罪を告白し、罪の行為を清算しました。(18)  そして莫大な値段の「魔術」に
関する多くの書物が焼き捨てられました。(19) 彼らは、強制されてそうしたのではなく、
福音に触れ、主イエスを信じたことにより心が満たされ、偶像礼拝や魔術の無力さ、
虚しさを知り、自分たちの意志でそれらから離れたのです。
 人々を魔術から解放した「主のことば」は、力強く拡大していきました。(20) 
 このようにしてパウロたちのエペソにおける三年間にわたる伝道が進められていき
ました。  (使徒20章31節p.278参照)

結 論)主イエスの名によるバプテスマ(洗礼)(父、子、聖霊の名によるバプテスマ)を
受けるとは、主イエスが教え、示され、またご自身の十字架の死と復活によって実現
してくださった、救いの恵みの中に入れられることです。
             (マタイの福音書28章19節p.64参照) 
 それによって私たちは主イエスの恵みを体験し、分かり、その恵みの中で歩む者と
されるのです。
 主イエスを信じ、聖霊を内にいただいて新しくされた人は、キリストの証人とも
されています。
 旧約聖書、新約聖書にさらに親しみ、異教社会の中にあっても、主イエスを信じる
恵みと喜びを証ししてまいりましょう。