一同が主に礼拝をささげ、断食をしていると、聖霊が「さあ、バルナバとサウロとを、わたしのために聖別して、彼らに授けておいた仕事に当らせなさい」と告げた。 そこで一同は、断食と祈とをして、手をふたりの上においた後、出発させた。 ふたりは聖霊に送り出されて、セルキヤにくだり、そこから舟でクプロに渡った。
使徒13章2-4節 (p.202)
序 論)使徒13章から、「地の果てまで」(1章8節)の伝道が始まります。この伝道を支えたのは、生まれてまだ数年しかたっていないアンテオケ教会でした。神様が、教会を通してなされたことは…
1、世界宣教への派遣
アンテオケ教会には「預言者や教師」(1)の賜物が与えられている人たちがいました。
一同が主に礼拝をさささげ、断食をしているとき、聖霊は、教会の二人の伝道者バルナバとサウロ(パウロ)を「わたしのために聖別して、…」(2)と命じました。
一同が、「手をふたりの上においた後」(3)送り出したことは、伝道者の働きを神様の恵みにゆだねるとともに、この伝道がアンテオケ教会の全面的な支援のもとに発足したことを示しています。
手を置くことを「按手(あんしゅ)」と言います。それは教会がある人をある務めのために立てること、教会、宣教地に遣わすことを表す行為です。
二人は聖霊に送り出され、セルキヤ(アンテオケの港町)から、クプロ(キプロス島)に渡りました。彼らはまず、「ユダヤ人の諸会堂」で宣教をします。(5) クプロは、バルナバの出身地(4章36節)であり、「ギリシヤ世界」に属する地域でした。
ここに出てくる「ヨハネ」(5)は通称「マルコ」(12章12節 p.201)と呼ばれる、エルサレム教会出身の青年でした。
このようにアンテオケ教会が世界伝道の拠点になることは、聖霊のご意思でした。
この教会は聖霊の御声に従って、その重要な指導者であるバルナバとパウロを宣教師として海外に送り出したのです。
今も、聖霊は教会の中から、献身者を起こされ、宣教師を送り出されます。
2、クプロ(キプロス島)の伝道
二人は、島全体を巡回した後、パポスで地方総督セルギオ・パウロに伝道する機会を得ました。(7b) 総督は彼らの語る神のことばに耳を傾け始めたのです。
ところが、総督の庇護を受けていたバルイエスという魔術師、偽預言者が、その地位を失うことを恐れて、伝道を妨げようとしました。(6-8) おそらく魔術を使って人々を驚かせ、自分を大きな力を持った特別な人物だと思わせ、総督の相談役のような地位を得ていたのでしょう。
彼は、神のことばを聞きたいと思っていた地方総督を信仰の道から遠ざけようとしたのです。しかし、彼らは、魔術師と対決します。サウロは、主の権威をもって彼に語ります。(9-11)
魔術師エルマ(バルイエス)は、「主のまっすぐな道を曲げる」(10)罪を犯したため、しばらく目が見えなくなってしまいました。(11)
このことを通して、総督に信仰が与えられました。それは奇跡そのものへの驚き以上に、「主の教え」によるものでした。(12)
これ以降、サウロは、パウロというギリシヤ、ローマ(ラテン)的な名前を名乗るようになります。(9)
結 論)今回の聖書箇所には、「聖霊」という言葉が3回出てきます。(2、4、9節)
聖霊は、神の霊です。神様の導きが、バルナバやパウロたちの歩みの中でその都度ありました。彼らは、懸命にクプロで伝道しました。その中でも、聖霊によってすべての働きをなしたことを聖書は告げています。
礼拝と祈りの中で教会に示された主の御心が、このようにして聖霊のお働きによって実現していきます。
聖霊の働きは今なお続いています。私たちの教会も聖霊が導いておられるのです。
今、この礼拝から聖霊が私たちをそれぞれの場に送り出してくださいます。聖霊のお働きに身を委ねつつ歩むとき、私たちは神様が私たちに与えておられる使命を担う者とされるのです。神様の導きを祈り求めつつ歩みましょう。