使徒行伝1章1~14節、2章1~4節

ただ、聖霊があなたがたにくだる時、あなたがたは力を受けて、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、さらに地のはてまで、わたしの証人となるであろう                   使徒1章8節 (p.180)

序 論)十字架にかかられ、復活された主イエスは40日間弟子たちに御姿を現され、神の国のことを語られました。(3) 復活の主の言行とその後の出来事を通して示されることは…

1 聖霊を与える約束と主イエスの昇天
  「父の約束」(4)は、父なる神様が聖霊を与えられるという約束です。(ヨエル書2章28節 p.1264) 主イエスはそれが間もなく実現することを予告されました。(5)
しかし、このときの弟子たちの関心は、イスラエルの国の復興、ロ―マ帝国の支配からの政治的独立でした。(6)主イエスは彼らの質問に答えることはなさらず、神様が弟子たちを通して成そうとしておられることを告げられます。それは彼らが、「キリストの証人」となることでした(7-8)。彼らが主の証人となる力はただ聖霊によって与えられます。
その後、主イエスは、天にあげられました。(9) 「白い衣を着た二人の人」(み使い)(10)は、天にあげられた主イエスご自身が、もう一度地上に来られる(再臨される)ことを告げました(11)。
主のご昇天の後、弟子たちはオリブ山に下ってエルサレムに帰りました。この山はエルサレムから「安息日に許されている距離」(約900m)のところにありました。(12)              (出エジプト記16章29節 p.98    民数記35章5節 p.241 参照)
    そして、エルサレムにある家の屋上の間で、ペテロはじめ11人の弟子たち、主イエスの母マリヤ、主の兄弟たちは、心を合わせてひたすら祈りました。(13-14)
彼らは10日間、聖霊を求めて熱心に祈りました。
ペンテコステの日まで、弟子たちは自分たちの中で誰が一番偉いかというようなことばかりが、気になっていましたが、主イエスの十字架、復活、昇天を経て、心を一つにして祈る者へと変えられ、心砕かれていきました。

2 聖霊がくだる
 「五旬節」(2章1節)(ギリシヤ語では「ペンテコステ」)は過越祭から50日目に行われる収穫の祝いのことです。
「日が来て」は原文では「日が満ちて」という意味の言葉が使われています。神の時が満ちて、ついに聖霊がくだるときが来たのです。
弟子たちが一つの家に集まっているときに、突然、激しい風が吹いてきたような音が家全体に響き渡りました。「風」(2)は、旧約聖書の中では、息、神の霊を表すものとして、用いられている箇所があります。(エゼキエル37章9~14節 p.1203)
そして、「舌のようなものが、炎のように分かれて現れ」ました。(3) 新改訳聖書では、この箇所は「炎のように分かれた舌」と訳されています。それが「ひとりびとりの上に留まり」ました。これは一人一人に聖霊が分け与えられること、しかもすべてが一つの御霊であることを示しています。
彼らは自分たちが知らなかった他国の言葉で、「神の大きな働き」(2章11節)を宣べ始めたのです。(4)主イエスが約束なさった(1章5節)ように、弟子たちに聖霊がくだりました。
この後、祭りのために各国から集まってきたユダヤ人たちは、ペテロが大胆に語った説教を通して悔い改め、主イエスを信じて救いにあずかります。(2章41節 p.183)これは世界中に広がっていく福音宣教のスタートでした。          

結 論)主イエスの言葉通り(1章8節)、この後、聖霊のお働きによって、弟子たちの宣教の地域が拡大していきました。それにつれて、彼らの「イスラエルのため」というユダヤ主義的偏見や異邦人との間の壁が取り除かれ、異邦人の救いが成されていきます。
復活の後、昇天された主イエスは、今も天におられ、私たちのためにとりなし祈っておらます。
そして、聖霊によって、私たちの内に生きてくださっています。私たちは主イエスを信じるとき、聖霊が内に住んでくださり天におられる主イエスと結びつけられるのです。           (エペソ人への手紙3章14-19節 p.303)
   主イエスとの交わりを通して、私たちの内に御霊の実が結ばれていきます。      (ガラテヤ人への手紙5章22-23節 p.299)
私たちの宣教は、内に住んでくださる聖霊の助けによって成されていきます。それは、私たちの思いを越えて進んでいきます。それは、父なる神様が聖霊によって成されるみわざだからです。
ペンテコステの日以降、現在に至るまで多くのキリスト者たちが用いられ世界中に大きな救いの喜びが広がっていきました。私たちもその働きに加えさせていただいています。神様は聖霊によってたとえ小さな私たちであっても豊かに用いてくださいます。
御霊の実をさらに結ばせていただき、キリストの証人して、福音を伝えてまいりましょう。