そこで御使が彼に言った、「恐れるな、ザカリヤよ、あなたの祈が聞きいれられたのだ。あなたの妻エリサベツは男の子を産むであろう。その子をヨハネと名づけなさい。 彼はあなたに喜びと楽しみとをもたらし、多くの人々もその誕生を喜ぶであろう。…」 ルカ1章13-14節 (p.82)
序 論)今回の箇所(5-25節)は、バプテスマのヨハネ(洗礼者 ヨハネ)の誕生の背景が記されています。父親のザカリヤは、礼拝の務めをする祭司でした。ザカリヤと妻エリサベツにその時まで子どもがなかなか与えられませんでした。ある日、彼は神殿の聖所という特別な場所に入り、特別な礼拝をする当番に当たっていました。その時に起こったことその後の出来事は… …
1. 聞かれた祈り
聖所の中でザカリヤが香をたき礼拝の務めを果たしていると、そこに主のみ使い(天使)が立っていました。(11) 非常に恐れを感じた彼にみ使いが語ります。(13-17)。
ヨハネは、旧約の預言者エリヤの霊と力をもって、ユダヤ人たちを神様に立ち返らせる使命を持った人です。(17)
み使いの言葉を聞いても、「どうしてそんな事がわかるでしょうか。…」(「何によってそれを知ることが出来ましょうか」(新改訳))(17)と言って、それを信じませんでした。 み使いガブリエルがザカリヤに伝えたのは「喜ばしい知らせ」(19)でした。しかし、それを信じることができませんでした。そのため、口がきけなくなってしまいます。(20)
神様はザカリヤに罰を与えられたのではありません。 神様の約束が成就するまで、神様の前に静まる必要があったのです。
神様の計画よりも自分の考えを優先してしまうザカリヤにとって、この約半年の期間は、主の前に静まる時をもって、神様の言葉を受け止め、黙想し、信仰が強められる時でした。
2.ヨハネの誕生とあふれる賛美
エリサベツはみごもり、ついに男の子の誕生の日を迎えます(57)。
「主が大きなあわれみを…」(58)の原文を直訳すると「主があわれみを大きくされた…」です。神様は、ザカリヤ、エリサベツの長年の祈りを聞き、顧み、あわれんでくださったのです。周りの人々もその誕生を喜びました。(「ザカリヤ」は「主は覚えておられた」という意味。)
そして生まれて8日目、割礼と同時に命名するために人々が集まりました。彼らは、父と同じ名前にしようと言いましたが、エリサベツは、「…ヨハネという名に…」(60) と言い、ザカリヤも「その名はヨハネ」と書き板に記しました。(63)(ヨハネは「主はいつくしみ深い」という意味)
ザカリヤの口が開かれた瞬間、神様をほめたたえました。
彼は、神殿の中での不思議な出来事やヨハネという名前の由来を語ったのではなくただひたすら神様をほめたたえました。(64)
ザカリヤは信仰が強められ、心新たにされました。彼の心にあったのはヨハネが生まれたことへの感謝だけではありませんでした。み使いが教えてくれた通り、この後、ヨハネがイスラエルのために大切な役目を果たす人になることを信じて、神様をほめたたえたのです。
成人した後、バプテスマのヨハネは、イスラエルの多くの人々を神様に立ち返らせ、イエス様を指して「世の罪を取り除く神の小羊」と言い、このお方が救い主であることを証ししました。(ヨハネによる福音書1章36節 p.136) 彼は、救い主が来られる前の「先駆者」としての使命を果たしたのです。
結 論) 神殿で香をたくために選ばれたザカリヤの務めは イスラエルの祝福を祈ることでした。 神様は、ザカリヤが民の祝福のための祈り、以前に願っ ていた子どもを与えて下さいという祈りの両方を聞かれ、 それらに応えてくださったのです。
神様は、私たちの祈りを聞き、覚えていてくださいます。 世界や国のこと、家庭や個人のこと、私たちにとって大きいと思えることから小さいと思えることまで、神様に祈りをささげましょう。
私たちのささげる祈りは、神様の全知全能の御手の中で 応えられていきます。これは無理だろうなあと、私たちが 思ってしまうことでも、神様は聞いておられます。そして、 必ずお祈りに応えてくださいます。
私たちが思っていたのと違う応えや導きのときもあります。また私たちの祈りに対して、神様のくださる応えが、私たちの思いを超えてはるかに素晴らしいときもあります。
どんな応えでも喜んで受け止め、神様を賛美する者とさせていただきましょう。いつも神様は最もよいものを用意 され、与えてくださるのです。