ルカによる福音書22章24~34節

シモン、シモン、見よ、サタンはあなたがたを麦のようにふるいにかけることを願って許された。 しかし、わたしはあなたの信仰がなくならないように、あなたのために祈った。それで、あなたが立ち直ったときには、兄弟たちを力づけてやりなさい。           
ルカ22章31-32節 (p.128)

序 論)
  「最後の晩餐」のとき、イエス様はご自分を裏切る 者が弟子たちの中にいることを告げられます。(21-22)。 それを聞いた弟子たちの姿と、イエス様が言われたことを 通して示されることは…

本 論) 1.一番偉い人
  弟子たちは、裏切る者は誰なのかを論じた(23)後、自分たちの中で誰が一番偉い(原語では「大きい」)か論争しました(24)。
  弟子たちのように私たちも自分と他人を比べてみたりします。イエス様が言われた当時の社会の姿(25)は、今の社会にも見られる姿です。
  そうではなく、イエス様は、人に仕える者となりなさい、と言われます。(26)
そして、「…しかし、わたしはあなたがたの中で、給仕をする者のようにしている。」(26)と言われます。
  ヨハネによる福音書は、この食事の席で、イエス様が弟子たちの足を洗われた御姿を告げています。(ヨハネによる福音書13章12~15節 p.163)
 イエス様自らが給仕する者、仕える者、人の下に立つ者となって下さいました。人の足を洗うことは、当時、僕(しもべ)のすることでしたが、このときイエス様ご自身が率先して、なさって下さいました。
  イエス様はこのように人々に仕え、最後に、十字架の上でご自分の命をも与えて下さったのです。
  「人の子がきたのも、仕えられるためではなく、仕えるためであり、また多くの人のあがないとして、自分の命を与えるためである。」(マルコ福音書10章45節 p.69)
  それは、神と人を愛することができず、人に対して傲慢になり謙遜な心を失っていた弟子たち、すべての人の罪のための身代わりとしての死でした。 (イザヤ書53章5節 p.1021)
イエス様の十字架の死によって、私たちは自分の罪を知り、悔い改め、罪赦されて新たに生きる道が開かれたのです。

2. 主イエスは私たちのために祈っておられる
  イエス様はさらに今まで忍耐して従って来た弟子たちに、将来、新しい十二部族である教会を治める者としての支配権を委ねられることを告げられます(28-30)。
 しかし、その後、ペテロがふるいにかけられる、と語られます。(31) ふるいにかける、とは吟味するという意味です。神様の許しを得たサタンが誘惑する者としてペテロに働きかけます。彼の信仰が本物かどうか、誘惑や試みにあっても曲がることがないか、吟味されてしまうのです。
 その言葉を聞いても、ペテロは強気の態度を変えません でした(33)。彼はまだ、自分の弱さ、信仰の足りなさが分かっていなかったのです。
 イエス様の言葉通り(34)、ペテロは主の仲間であることを否認し、他の弟子たちもイエス様を見捨てて逃げ去ってしまいます。(ルカ福音書22章55-62 節 p.129 、 マルコ福音書14章50節 p.78)  イエス様は、このようなペテロ、弟子たちのために祈って下さいました(32)。そして、十字架の後、復活されたイエス様は、彼らをご自分の方から訪ねて下さいました。ペテロたちはイエス様の祈りに支えら、立ち直ることができたのです。イエス様は彼らの罪を赦し、新たに各地に遣わされました。
 このように弱かった弟子たちがイエス様の復活と昇天の 後、聖霊の力によって主イエスによる救い、福音を宣ベ伝えていきました。彼らの働きによって教会が各地に誕生し イエス様を信じる人たちの集まりが起こされました。彼らは、使徒となり、教会の指導者となっていったのです。 ペテロたちはイエス様が、最後の晩餐で言われた言葉を、生涯にわたって心に留め、人に仕えること、イエス様に祈られていることを何度も思い起したことでしょう。自らも人のために祈る者、仕える者となって信仰の歩みを送ったことでしょう。  

結 論)
  イエス様は、私たちの弱さも罪もすべてご存じであり、そのような私たちを愛し、祈って下さり、救いの恵み を与えて下さいました。
 主イエスは、今も、天において、私たちのためにとりなし祈って下さっています。それゆえ、私たちがいろいろな失敗や過ちを犯してしまったときも、弱さを覚えるときも主のもとに行き、十字架の血潮による赦しをいただいて、新たに立ち直ることができるのです。
 イエス様の祈りに支えられて、私たちも互いのため、周りの人たち、お出会いする人たちのためにとりなし祈りましょう。
 聖書のみ言葉と聖霊によって、キリストのご愛と謙遜な 心を内にいただき、主と教会に仕え、人のために仕える者とさせていただきましょう。