御使は言った、「恐れるな。見よ、すべての民に与えられる大きな喜びを、あなたがたに伝える。 きょうダビデの町に、あなたがたのために救主がお生れになった。このかたこそ主なるキリストである。…」 ルカ2章10-11節 (p.85)
序 論)
当時のローマ皇帝の出した人口調査の勅令に従い、 ヨセフとマリヤは、普段暮らしていたナザレからベツレヘムに行きました。マリヤは臨月を迎えていましたが、「客間には彼らのいる余地がなかった」(7)ため、イエス様は家畜小屋の「飼い葉おけ」で誕生されました。
その晩、ベツレヘム近くの野原で羊の群れの番をしていた羊飼いたちは…
本 論) 1.御子の御誕生を告げられた
静かな夜でしたが、突然、まぶしい光が辺りを照らし、 御使い(天使)が現われました。羊飼いたちは驚き、恐れます。(9)
御使いは、「恐れるな。…大きな喜びをあなたがたに伝える。」と言い、「…あなたがたのために救い主がお生まれになった。…」と告げました。(10-11)
当時、羊飼いは貧しく、人口調査の対象にもされないほどに身分の低い人々でした。宗教指導者たちからは汚れた 人々とみなされ、神殿に礼拝に行くこともできませんでした。でも、神様はそんな羊飼いたちに、救い主の御誕生の 知らせを一番先に届けて下さいました。
御使いが「すべての民に与えられる大きな喜び…」と告げたように、父なる神様からの最高の愛の贈り物である御子イエス様をすべての人に与えられたのです。その知らせを最初に聞いた「全人類の代表」が羊飼いたちでした。
続いて、数えきれないほどの御使いが現われ、神様を賛美する大合唱が始まりました。「いと高きところでは、神に栄光があるように、地の上では、み心にかなう人々に平和があるように。」(14)
2. 御子を自分の目で見、証しした
御使いたちが去ると元の静けさが戻りました。羊飼いたちは「さあ、ベツレヘムへ行って、主がお知らせ下さったその出来事を見てこようではないか」と互いに語り合いました。(15) そして急いでベツレヘムに出かけ、御使いの言葉通り、飼い葉おけに眠る赤ん坊を探し当てました(17)。
彼らは、御使いから聞いたことを、マリヤやヨセフや町で会った人たちに伝えました。(18)
人々はこのことを聞いて不思議に思いましたが、マリヤは、これらの事をことごとく心に留めて、思いめぐらしていました。(19-20) 彼女には、10か月ほど前に聞いた御使いガブリエルの言葉を、もう一度深い畏れをもって、思い起こしていたことでしょう。(1章30-33節 p.83)
羊飼いたちは心から神様を賛美しながら帰っていきました(20)。羊飼いたちが帰って行ったベツレヘムの、野原も仕事も今までと変わりはありません。でも、神様が私たちを愛し、顧みて下さった、そして御子イエス様を与えて下さったという喜びと共に神様を信じて生活していったことでしょう。
羊飼いたちは、御使いの知らせを聞くまでは、自分たちは神様から遠い存在だと思っていたかもしれません。この生涯に一度しかない特別な夜もいつもと同じ羊の番の仕事をしていました。でも、神様の方から彼らを訪ねて来られ、御声をかけられたのです。神様は、今も、聖書を通して私たちに語り掛けられ、イエス様が、神の御子、救い主であることを告げ知らせておられます。
結 論)
御使いは羊飼いたちに、救い主イエス様の御誕生は 「あなたがたのための」救いの出来事だと告げました。 神様は「あなたのために」、私たち一人ひとりのために、 救い主をお与えになりました。神様が、今、「あなた」という二人称で語りかけ、「私とあなた」という関係を結び 救いの恵みを与えようとしておられます。それが御使いの 告げた「大きな喜び」なのです。イエス様は、私たちと一緒におられるため、共に生きて下さるために来て下さいました。
イエス様の御降誕を共に喜び賛美するこのクリスマスのとき、イエス様を神の御子、救い主を信じ、心に受け入れ、 神様の愛と平和と祝福の道を歩んでまいりましょう。