使徒行伝22章6~10節

旅をつづけてダマスコの近くにきた時に、真昼ごろ、突然、つよい光が天からわたしをめぐり照した。わたしは地に倒れた。そして、『サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害するのか』と、呼びかける声を聞いた。これに対してわたしは、『主よ、あなたはどなたですか』と言った。すると、その声が、『わたしは、あなたが迫害しているナザレ人イエスである』と答えた。わたしと一緒にいた者たちは、その光は見たが、わたしに語りかけたかたの声は聞かなかった。 わたしが『主よ、わたしは何をしたらよいでしょうか』と尋ねたところ、主は言われた、『起きあがってダマスコに行きなさい。そうすれば、あなたがするように決めてある事が、すべてそこで告げられるであろう』。
(使徒22章6-10節)

序 論)あなたが憧れの芸能人やスポーツ選手と5分間お話できるとしたら、何をその方とお話するでしょうか?
 私たちはこの世のどんなスターよりも偉大な方である神様、イエス様と無限にどんなことでも語り合うことができます。しかし、実際のところ、私たちは何を語ったらよいかわからない者ではないでしょうか?
今日の箇所に見る使徒パウロの祈りは、私たちが神様、イエス様にどんなことを祈ったらよいかを教えてくれます。パウロの人生を変えた三つの祈りから、私たちの人生をも変え得る祈りを学んでみましょう。

本 論)1、主よ、あなたはどなたですか
 パウロの人生を変えた第一の祈り、また私たちの人生をも変える第一の祈りは、8節の「主よ、あなたはどなたですか。」という祈りです。皆さんはこの祈りをささげたことがおありでしょうか?
私は岩手県の田舎に生まれ、幼少時代は豊かな自然と大家族の中で何不自由なく育ちましたが、小学校に入ってからいじめに遭い、苦しみの日々が延々と続いていきました。
しかし、中学2年生の時、いじめの事実に気づいてくれた担任の先生の指導のお陰で、私は彼らから解放され、ついに自由に生きられるようになったのです。「これで私は幸せになれる」と思いましたが、しばらくこのような生活をする中で私は「どのように生きたらいいのか」という新たな悩みを抱えることになりました。
そんな中、たまたま訪れた書店で1冊の本が目に留まったのです。それは、三浦綾子さんの「塩狩峠」という本でした。この本を読んだ時、私は伝道者が語った十字架上でのイエス・キリストの言葉を通して、この方が「私の人生の導き手である」ことを確信することができ、私はこの方を信じ、この方に人生をささげることを決意したのでした。その時私は不思議な平安と喜びに満たされ、その後イエス様は私の人生を最善に導いてくださいました。
主が自分にとってどんな方かをはっきりと知る時、私たちの人生は必ず変わります。パウロがささげた「主よ、あなたはどなたですか。」という祈りをささげ、その答えをはっきりと受け取らせていただきましょう。

2、主よ、わたしは何をしたらよいでしょうか
 パウロの人生を変えた第二の祈りは、また私たちの人生をも変える第二の祈りは、10節の「主よ、わたしは何をしたらよいでしょうか」という祈りです。
私たちは「~をください」「~してください」のような自分の願いを聞き届けてほしいという祈りばかりをささげてしまいがちですが、この祈りは「私に対する主の願いは何ですか? 私はそれを知り、そのことを行いたいのです」という祈りです。
この祈りをささげる時、「起きあがってダマスコに行きなさい。」という御言葉のように、主は次になすべき一つのことを示してくださいます。そして、それに忠実に聞き従った時、主はまた次になすべきことを示して下さり、このようにして私たちは主の望まれる道をまっすぐに歩んでいくことができるのです。ですから、私たちにとって大切なことは一歩一歩の聞き従いです。
今日の朗読箇所の後で、主は私たちにしてほしいと願っている二つのことが記されています。
一つはバプテスマ(洗礼)です。(16節)主はご自身と出会ったすべての人に、信仰告白をし、バプテスマを受けることを望んでおられます。
もう一つは伝道です。(15節)主はご自身と出会ったすべての人に、全世界のすべての人々に対して証人となることを望んでおられます。

3、主よ、・・・・・・・・・・・・
 パウロの人生を変えた第三の祈りは、また私たちの人生をも変える第三の祈りは、19、20節の「主よ、・・・」という長い祈りです。この祈りは「自らのマイナスをさらけ出す祈り」と言うことができます。
第二の祈りで学んだように、主は私たちに伝道することを望んでおられます。しかし、伝道する方法はいろいろあります。牧師や宣教師のようなフルタイム奉仕者もいれば、主婦やビジネスマンとして証しする人もいます。今いる所で証しする人もあれば、国内や海外の別の場所に遣わされて証しをする人もいるでしょう。私たちそれぞれがどのような形で伝道したらよいか具体的な方法を知ることができるのは、この自らのマイナスをさらけ出す祈りをささげた時なのです。パウロを初め、主に豊かに伝道のために用いられた人たちは、みなこの祈りをささげ、自分にしかできない伝道の方法、つまり「自らのマイナスがマイナスにならず、自らのプラスだけが発揮されるような伝道方法」を主から教えていただいたのです。パウロの場合は「あなたを遠く異邦の民へつかわす」(21節)と言われ、異邦人伝道に召されることになりました。
私は東京開拓伝道に遣わされる時、この自らの弱さをさらけ出す祈りをささげました。「こんな自分が東京で開拓伝道などできるのでしょうか」と本気で主に祈ったのです。その祈りの格闘の中で主は「あなたの手にあるそれは何か」(出エジプト4:2)と語ってくださり、自分の手の中にある「杖」がそれを可能とすることを示してくださいました。そこで、私が「その杖とは何ですか」と続けて祈った時、主はその杖が自分が救われるきっかけとなった「三浦綾子さん」であることを示してくださり、こうして「三浦綾子読書会」が東京からスタートすることになったのです。
三浦綾子読書会の働きを通して東京開拓伝道は見事に成し遂げられ、その後には私が想像すらできなかった国内、海外各地での伝道の働きが豊かに開かれていきました。 

結論)今日は使徒22章のパウロの祈りから、私たちの人生を変える三つの祈りを学びました。
「主よ、あなたはどなたですか」
「主よ、わたしは何をしたらよいでしょうか」
「主よ、・・・・・・・・・・・・」
是非これらの祈りを主にささげてみてください。そして、その祈りに対して主が語られたことに真摯に応答してみてください。必ずや皆さんもパウロのように豊かに変えられ、豊かに用いられることになるでしょう。