ルツ1章15~18節

「あなたの民はわたしの民、あなたの神はわたしの神です。」             ルツ記1:16 

 モアブという国に、ナオミという女の人がいました。彼女はかつて、夫と二人の息子と緒にユダヤの国からやって来たのです。でも、夫と二人の息子を失い、ナオミと息子たちの嫁の二人だけが残されました。ナオミはもう一度ユダヤの地に帰ろうと決心しました。

本 論)A.二人の嫁の決心
ナオミは二人の嫁と一緒に、一度はモアブからベツレヘムへ帰りかけますが、ナオミは彼女たちのことを思い、自分たちの実家に帰ることを勧めます。三度の「帰って行きなさい。」(8、11、12節)と言うナオミの勧めに対してオルパは実家に帰ることを決断します。しかし、ルツはナオミから離れようとはしませんでした。(14節 新改訳では「すがりついていた」)。ナオミの姿に、義理の娘ではあっても、子どものことを心配する母の愛が現われています。母の愛は、神様の愛と重なるところ、共通するところがあります。  イザヤ書の中で神様は、こう言っておられます。

「女がその乳のみ子を忘れて、その腹の子をあわれまないようなことがあろう
か。たとえ彼らが忘れるようなことがあっても、わたしは、あなたを忘れる
ことがない」(イザヤ書49章15節 旧約p.1016)

父なる神様の愛は、母が子どもを愛する愛とは比べることができないほど深く大きなものです。それは御自分の愛する独り子イエス様を十字架にかけてまでも私たち一人ひとりを救おうとされた愛です。

B.ルツの信仰と神からの祝福
  ルツはナオミと生活を共にするうちに、ナオミの信仰に感化され神様を信じるようになったのです。ルツは異教の中で生まれ育ちました。聖書も知りません。ただ姑のナオミといっしょに暮らすことによって信仰とは何であるかを知ったのです。彼女はナオミと共に生きることを選び、生涯をかけて彼女に仕えることを強く願います。ルツはナオミの信仰にならいその神(真の神様)を自分の神、その民(ユダヤ民族)を自分の民として選びました(16節)。 ユダヤの地に来たルツは、懸命に姑に仕え、周囲の人たちにも好意を持って受け入れられました。やがてボアズと出会い、結婚します。ボアズがルツに出会ったときに告げた祝福の言葉。

「どうぞ、イスラエルの神、主、すなわちあなたがその翼の下に身を寄せよう
としてきた主からじゅうぶんの報いを得られるように。」
(ルツ記2章12節 p.378)

ボアズとの正式な結婚を通して、ルツはメシヤ(救い主)イエス様の家系につながるものとなっていきます。ボアズとルツの間にオベデが生まれ、オベデからエッサイが、エッサイからダビデが生まれます。 (ルツ記4章17節)そして、ダビデの末からイエス様が誕生されます。ルツという一異邦人女性の、一家族の中で現わされた信 仰が、やがて民族を超え、世界の大いなる救いのみわざに関わっていきます。神様はナオミとルツの信仰に報いて彼女たちを大いに祝福されたのです。

結論)
  士師記からサムエル記に記されているイスラエルの時代は不信仰が蔓延する闇と混沌の時代でした。そのような時代にあって、神と人に仕えたルツの信仰は、荒野の中のオ アシスのようにきよく慰めに満ちています。神を信頼し、従い、人を愛して生きた母ナオミの真実できよい信仰を受け継ぎ、愛の生活にならって歩んだのがルツでした。
神様を信頼し、人を愛して生きたルツの真実できよい信仰にならい、主イエス様を信じ、天の御国を望みつつ従ってまいりましょう。

「しかし実際、彼らが望んでいたのは、もっと良い、天にあるふるさとで
あった。だから神は、彼らの神と呼ばれても、それを恥とはされなかっ
た。事実、神は彼らのために、都を用意されていたのである。」
(へブル人への手紙11章16節 新約p.355)